登山ギア管理ガイド
山でのモバイルバッテリー容量の選び方
— 実際に充電できる回数の計算
モバイルバッテリーの表示容量(mAh)はセル基準(3.7 V)の値で、給電時の電圧変換ロスによりスマートフォンに実際に入るのは約 6 割です。
10,000 mAh のバッテリーで 4,000 mAh のスマホを充電できるのは約 2.5 回ではなく約 1.5 回です。
なぜカタログの回数より少ないのか
モバイルバッテリーの mAh は内部のセル電圧 3.7 V を基準に表示されます。実際の給電では 5 V(USB)に昇圧し、スマホ側でさらに電池電圧へ変換するため、その過程で電力が失われます。実効効率は有線でおおむね 6 割というのが計画時の現実的な前提です。
- 充電回数 = バッテリー容量(mAh) × 0.6 ÷ スマホ容量(mAh)
例: 10,000 mAh のバッテリー、4,000 mAh のスマホ —
- 有線 = 10,000 × 0.6 ÷ 4,000 ≒ 1.5 回
- ワイヤレス = さらに × 0.6 ≒ 0.9 回
日数別・容量の目安
充電回数は 4,000 mAh のスマートフォンを有線で充電した場合の計算値(実効効率 0.6)です。
重量は一般的な製品の幅で、モデルにより上下します。実際の値は製品の仕様を確認してください。
5,000 mAh
充電 0.8 回/約 100〜130 g
日帰り〜1 泊。GPS を使いながらでも 1 日は保険になる
10,000 mAh
充電 1.5 回/約 180〜250 g
1〜3 泊の標準。多くの縦走はこの容量で足りる
20,000 mAh
充電 3.0 回/約 350〜450 g
4 泊以上・厳冬期・カメラや GPS 機器も充電する場合
容量を増やす前に、消費を減らす
バッテリーは重量に直結する装備です。容量を 1 段階上げる前に、スマホ側の消費を減らすほうが軽く済みます。
- ·機内モード — 圏外では電波を探し続けて消費が跳ね上がります。GPS は機内モードのままでも動作します。
- ·地図の事前ダウンロード — オフライン地図にしておけば通信が発生しません。
- ·画面の明るさと点灯時間 — 消費の大部分は画面です。確認のたびに点灯する時間を短くします。
- ·保温 — 低温では端末側の電池も持ちが悪くなります。ポケットの内側など体温に近い場所に入れてください。
⚠ 地図・GPS をスマホに依存する場合、バッテリー切れは道迷いに直結します。紙地図とコンパス、そしてヘッドランプ(予備電池つき)はスマホの残量に関係なく必ず携行してください。
Mt Gear Flow での試算
山行ごとの燃料・電源の試算画面で、バッテリー容量とスマホの容量を入れると充電回数を計算します。有線/ワイヤレスを切り替えると実効効率が変わり、回数の差がその場で分かります。ガス・アルコール・固形燃料の必要量も同じ画面で扱えます。
よくある質問
10,000 mAh のモバイルバッテリーでスマホは何回充電できますか
バッテリー容量 4,000 mAh のスマートフォンなら約 1.5 回です。単純な割り算では 2.5 回ですが、モバイルバッテリーの表示容量はセル基準(3.7 V)の値で、5 V へ昇圧してスマホ内のバッテリーに充電する過程で約 4 割が失われます。カタログの「◯回充電可能」より実際は少ないと考えてください。
登山には何 mAh のモバイルバッテリーを持てばいいですか
日帰り〜1 泊なら 5,000 mAh、1〜3 泊の縦走なら 10,000 mAh が目安です。4 泊以上、厳冬期、カメラや GPS 機器も充電するなら 20,000 mAh を検討します。GPS アプリを常時起動すると消費が大きく増えるため、地図アプリを使い続ける計画なら 1 段階上を選んでください。
寒いとモバイルバッテリーの容量は減りますか
リチウムイオン電池は低温で内部抵抗が上がり、取り出せる電力が一時的に落ちます。氷点下の環境では性能低下を見込み、行動中は衣類の内側、就寝時は寝袋の中など体温に近い場所で保温してください。低温で充電できない場合も、常温に戻せば容量自体は回復するのが一般的です。
山ではワイヤレス充電と有線どちらがいいですか
有線です。ワイヤレス給電はコイル間の伝送ロスが加わり、実効効率が有線の約 6 割まで落ちます(有線 0.6 × 無線 0.6 ≒ 0.36)。同じ 10,000 mAh でも有線で約 1.5 回のところ、ワイヤレスでは約 0.9 回しか充電できない計算です。荷物を減らすためにケーブルを省くのは逆効果になります。
電源と燃料をまとめて試算
容量を入れるだけで充電回数を計算。装備の重量管理と同じ画面で完結します。
無料で始める最終更新: 2026-08-31