登山ギア管理ガイド

登山装備のメンテナンス頻度の目安
— 使用回数と経過日数の 2 軸で管理する

装備のメンテナンス時期は、「使った回数」と「経過日数」の 2 つの軸で決まります。

レインウェアの撥水回復のように使用回数で管理するものと、靴のソール加水分解のように使わなくても進む経年劣化があり、どちらか早いほうを基準にします。

「使っていないから大丈夫」は成り立たない

メンテナンスを使用回数だけで管理すると、保管中に進む劣化を取りこぼします。代表例が登山靴のミッドソールの加水分解で、これは履いた回数ではなく製造からの年数で進みます。ほかにもゴムの硬化、シームテープの剥離、電池の液漏れ、ダウンの圧縮によるロフト低下は、いずれも「使っていない期間」に起きます。逆にレインウェアの撥水低下やザックの汚れは、使った回数に比例します。装備ごとにどちらの軸で劣化するかを決めるのが、メンテナンス管理の出発点です。

装備別・メンテナンス頻度の目安

回数= 使った回数で管理する装備。日数= 使わなくても時間で劣化する装備。

間隔は一般的な目安です。使用環境(海沿い・砂地・雪山)で早まります。製品に取扱説明がある場合は必ずそちらを優先してください。

回数レインウェア

着用したら毎回

洗濯 → 乾燥(必要なら撥水回復)

近年の PFAS フリー撥水は汗・皮脂・汚れに弱く、汚れを残すと撥水が落ちる。一度でも着たら洗うのが基本。濡れて張り付くのは「防水が切れた」のではなく撥水低下のことが多い

回数登山靴(使用後)

毎回

泥・砂を落として陰干し

砂は縫製とソールの接着を削る。濡れたまま仕舞うと加水分解とカビが進む

回数登山靴(防水処理)

3〜5 回

防水スプレー・ワックス

アッパーが水を含むと重くなり、保温性も落ちる

日数登山靴(経年)

製造から 3〜5 年

ソールの剥離・ひび割れを点検

ウレタン系ミッドソールは使わなくても加水分解する。保管したままの靴が山中で剥がれる事故が起きる

日数ダウン寝袋・ダウンジャケット

シーズンごと(約 180 日)

専用洗剤で洗濯 → 完全乾燥

皮脂がダウンを潰しロフト(膨らみ)が戻らなくなる。保温力はロフトで決まる

日数寝袋の保管

常時

圧縮せず大きな袋で保管

圧縮したままの保管はダウン・化繊とも復元力を失わせる。最も多い「劣化させる保管」

日数テント

年 1 回

設営して防水・シーム・ポールを点検

シームテープの剥離とフライの加水分解は現地で気づいても手遅れ。撤収前提の乾燥も毎回必要

日数ストーブ(バーナー)

シーズン初め

試し焚き・O リングとホースの点検

ガス漏れは火災につながる。実際に着火して炎の状態を見るまで分からない

回数浄水器

使用ごと

逆洗(バックフラッシュ)と乾燥

目詰まりで流量が落ちる。凍結させると内部が壊れ、見た目では判別できない

日数ヘッドランプ

長期保管前

電池を抜く・点灯確認

液漏れで端子が腐食すると使えなくなる。安全装備なので出発前の点灯確認も習慣にする

回数ザック

20 回前後

手洗い・縫製とバックルの点検

汗の塩分が生地とファスナーを傷める。ヒップベルトの縫製破断は行動不能に直結する

回数アイゼン・ピッケル

使用ごと

水分を拭き取る・爪の状態を確認

錆と欠けは強度に関わる。シーズン初めには研ぎも点検する

日数ヘルメット・ハーネス・ロープ

メーカー指定

耐用年数と使用歴で判断して交換

墜落を止める装備は外観で劣化を判定できない。必ずメーカーの指示に従う

レインウェアは「着たら洗う」に変わった

環境規制を受けて、レインウェアの撥水加工(DWR)はPFAS フリー(フッ素化合物を使わないタイプ)への切り替えが進んでいます。従来のフッ素系にくらべて汗・皮脂・汚れの影響を受けやすく、汚れが残ると撥水が落ちやすいのが実務上の違いです。

そのため「数回に一度まとめて洗う」ではなく、一度でも着用したら洗うのが基本になります。雨に降られなかった日でも、内側には汗が付いています。洗濯 → 完全に乾燥(製品の指示に従い、可能なら熱を当てて撥水を復活させる)→ それでも水を弾かなくなったら撥水剤、という順で対応してください。

※ 洗い方・乾燥時の加熱可否・使える洗剤は製品によって異なります。必ず製品の取扱表示を優先してください。

安全装備の点検は出発前に固定する

ヘッドランプの点灯確認、ファーストエイドの中身と使用期限、ストーブの着火確認は、間隔ではなく「出発前に毎回」の作業にしてください。壊れていても山に入るまで気づけず、気づいた時点では代替がききません。とくにヘッドランプは季節・時間帯を問わず必須の装備なので、予備電池を含めて確認します。ヘルメット・ハーネス・ロープなど墜落に関わる装備は、外観で劣化を判断せずメーカー指定の耐用年数に従って交換してください。

Mt Gear Flow でのメンテ管理

装備ごとに「何回使ったら」「何日経ったら」の 2 つの間隔を設定でき、どちらか早いほうで判定します。上の表の目安をそのまま設定値として使えます。使用回数は山行を完了したときにパッキングでチェックした装備だけ加算されるため、実際に持って行った回数で管理できます。超過した装備は装備一覧の 🔧 にバッジが出て、専用の一覧画面からその場でメンテナンス記録を残せます。記録を残すとそこが次回の起点になります。朝のプッシュ通知でも知らせますが、同じ装備で通知が連続しないよう間隔を空けています。

よくある質問

レインウェアはどれくらいの頻度で洗えばいいですか

着用したら毎回洗うのが基本です。近年のレインウェアは環境規制により撥水加工が PFAS フリー(フッ素系を使わないタイプ)に切り替わっており、従来のフッ素系より汗・皮脂・汚れの影響を受けやすくなっています。汚れを残したまま保管すると撥水が落ちるため、雨に降られなかった日でも汗を落とす目的で洗ってください。専用洗剤で洗って乾燥させ、撥水が戻らないときは撥水剤を使います。「濡れて生地が肌に張り付く」「表面が水を弾かず黒く濡れ広がる」は撥水低下のサインで、防水膜が壊れたわけではないことが多いです。

登山靴は使わなければ長持ちしますか

しません。ウレタン系のミッドソールは空気中の水分と反応して加水分解が進むため、使用回数に関係なく製造から 3〜5 年程度で劣化します。数年ぶりに履いた靴が山中でソール剥離を起こす事故はこれが原因です。久しぶりに使う靴は、事前に短い行程で状態を確認してください。

寝袋は圧縮袋に入れたまま保管してもいいですか

よくありません。ダウンも化繊も、圧縮されたままだと繊維が復元力を失い、保温力そのものが落ちます。保管は付属の大きなストレージバッグか、通気性のある袋でふんわりと。圧縮袋は行動中の携行のときだけ使ってください。

メンテナンスの時期を忘れないようにするには

装備ごとに「使用回数」と「経過日数」の間隔を決めておき、記録から自動で判定するのが確実です。Mt Gear Flow では装備ごとに回数と日数の間隔を設定でき、超過した装備を一覧とプッシュ通知で知らせます。メンテナンスを記録するとそこが次の起点になります。

メンテ時期を装備ごとに自動判定

回数と日数の間隔を決めるだけ。超過した装備を一覧と通知で知らせます。

無料で始める

テント泊装備リストの作り方 · ベースウェイトとは · Mt Gear Flow について

最終更新: 2026-08-31