登山ギア管理ガイド
登山の燃料計算
— ガス・アルコール・固形燃料の必要量の出し方
登山の燃料計算とは、山行中に沸かすお湯の量から必要な燃料の量を逆算する見積もりです。
目安としてガスは 1 g で約 50 cc、アルコールは 1 mL で約 20 cc のお湯を沸かせます。つまり必要湯量さえ決めれば、燃料の必要量と重量は計算で出せます。
手順 1 — 必要なお湯の量を先に決める
燃料の量は「何 g 持つか」から考えるとブレます。先に沸かすお湯の量を積み上げてください。1 人 1 泊の例:
- 夕食(アルファ米+汁物)500 cc
- 朝食(アルファ米またはスープ)400 cc
- 温かい飲み物 2 杯400 cc
- 1 人 1 泊あたり1300 cc
食事構成で変わります。フリーズドライ中心なら少なめ、パスタを茹でる・雪を溶かす場合は大幅に増えます。雪を水にする山行では 2〜3 倍の燃料を見込んでください。
手順 2 — 燃料の種類ごとに換算する
沸かせる量 = その燃料 1 単位で沸かせるお湯の量。必要量は「必要湯量 ÷ 沸かせる量」で求めます。
数値はすべて常温・無風での目安です。実効率はストーブ・鍋・風・気温・標高で大きく変わります。
ガス(OD缶)
50 cc / g
火力調整ができる。缶自体が 85〜155 g あり最後まで背負う
アルコール
20 cc / mL
器具が軽い。風に弱く火力調整が難しい
固形燃料(FireDragon 27 g)
800 cc / 個
個数で管理でき計算が簡単。着火後は途中で止められない
固形燃料(Esbit 14 g)
500 cc / 個
入手しやすい。燃焼時の匂いがある
ヒートエクスチェンジャー付きクッカー(JetBoil など)では、ガスの効率が 80 cc/g 前後まで上がります。
計算例 — 1 人・2 泊 3 日
1 泊 1300 cc × 2 泊 = 2600 cc。余裕を見て 3.0 L で計算すると:
- ガス = 3000 ÷ 50 = 60 g(105 g 缶 1 本で足りる)
- アルコール = 3000 ÷ 20 = 150 mL
- 固形燃料 = 3000 ÷ 800 = 4 個(燃料+個包装で約 116 g)
ガスは缶単位でしか持てないため、必要量が出たら本数に切り上げます。60 g なら 105 g 缶 1 本で足り、250 サイズを持つと 130 g 前後の余分な重量になります。
どの燃料が軽いかは泊数で変わる
燃料そのものの重さだけを比べると誤解します。ガスは空缶(85〜155 g)を最後まで背負う一方、アルコールと固形燃料は使った分だけ軽くなります。短期はアルコール・固形燃料が有利、泊数が増えるほど燃料 1 g あたりの効率が効いてガスが有利、というのが大まかな傾向です。火力調整のしやすさ・低温性能・入手性も含めて選んでください。
缶ごとの正確な内容量と空缶重量は OD缶の内容量と空缶重量の一覧 にまとめています(型番の数字は内容量ではありません)。
手順 3 — 効率が落ちる条件に余裕を持たせる
- ·風 — 風防なしでは熱が横に逃げ、効率が大きく落ちます。影響はアルコール・固形燃料でとくに大きくなります。
- ·低温 — 気温が下がると缶内の圧力が落ちて火力が低下します。氷点下ではガスが残っていても使い切れないことがあります。
- ·水温・水量 — 沢水や雪解け水は常温より冷たく、沸騰までに余分な燃料を使います。
- ·エスケープ — 停滞・ビバークで 1 食分増えることを想定し、計算値ぴったりでは持ちません。
目安として計算値に 2〜3 割を上乗せし、冬季や雪を溶かす山行ではさらに多めに見積もってください。
Mt Gear Flow での燃料試算
山行ごとに「必要量の逆算」と「手持ちの残量チェック」の両方を計算できます。必要量モードでは「お湯 6.0 L → ガス 120 g(105 g 缶 × 2 本)」のように必要な本数まで切り上げて表示し、残量モードでは缶の現在重量から残ガスと沸かせる水量を出します。ガス・アルコール・固形燃料・モバイルバッテリーを 1 画面で扱え、入力値は山行に保存されるので次回の見積もりの基準になります。換算係数は自分のストーブに合わせて変更できます。
よくある質問
テント泊 1 泊でガスは何 g 必要ですか
夕食・朝食・温かい飲み物で 1 人 1 泊あたりおおよそ 1.3 L のお湯を沸かすとして、ガスは約 26 g が目安です(1 g で約 50 cc 換算)。2 泊 3 日なら約 60 g で、105 g 缶 1 本で足ります。ただし風・低温・標高で効率は落ちるため、実際は 2〜3 割の余裕を見てください。
110 サイズと 250 サイズのガス缶はどちらを持つべきですか
1〜2 泊で 1 人分なら 110 サイズ(内容量 100〜110 g)で足りることが多く、缶の重さも 90〜100 g 軽く済みます。3 泊以上、複数人、雪山で雪を溶かす場合は 250 サイズが有利です。空缶の重量は捨てられないため、使い切れない大きい缶を持つと「使わない重り」を背負うことになります。
アルコールストーブの燃料は何 mL 持てばいいですか
燃料用アルコール 1 mL で約 20 cc のお湯が沸く想定なら、必要湯量 3.0 L で約 150 mL です。アルコールは風の影響を受けやすく効率が落ちやすいので、風防の使用と多めの携行を前提にしてください。
ガス・アルコール・固形燃料はどれが軽いですか
短期(1〜2 泊)では、燃料そのものが軽く容器も不要な固形燃料やアルコールが有利です。ガスは缶自体が 85〜155 g あるため短期では重くなりますが、燃料 1 g あたりで沸かせる量が多く、火力調整もできるため泊数が増えるほど有利になります。
燃料の必要量を山行ごとに自動計算
必要湯量を入れるだけで、必要な燃料量と缶の本数まで出ます。
無料で始める最終更新: 2026-08-31